あの時があったから、今がある。そして、これからへ。
36歳、真夏の夜の繁華街での発作。
突然の息苦しさに襲われ、道端に倒れ込んだあの日。
救急車で運ばれた病院での診断は、私にとって青天の霹靂でした。
入院を勧められましたが、大丈夫だと軽く考えて病院を後にしたこと、
それが全ての始まりだったのかもしれません。
1年後、再び発作に襲われました。
今度は自宅で、脂汗と下痢を伴う激しい症状でした。
救急車を呼んでも声が出ず、這いつくばって救急隊員に
発見されるという情けない状況でした。
病院に運ばれると、体温は33度まで低下しており、
心筋梗塞で危篤だと告げられました。
妻や友人たちの必死の訴えで転院し、カテーテル手術を
受けたことで一命を取り留めましたが、壊死した心臓は大きく、
手術は成功したものの、後遺症との闘いが始まったのです。
それから20年後、今度は心臓の壊死部分が血栓となり、
血管中に散らばるようになりました。
度重なる電気ショック、そしてペースメーカーの装着。
それでも症状は改善せず、最終的には心臓を外に出して
壊死部分を処理する手術を受けることになりました。
現在、寝たきりにならないようにと、毎日必死にリハビリを続けています。
しかし、精神的に辛い日もあります。
あの時、最初の発作を真剣に受け止め、医師の言葉に耳を傾けていれば、
こんなことにはならなかったかもしれないという後悔の念が、
今も消えることはありません。
だからこそ、私は同じような経験をしてほしくないのです。
リハビリ施設で出会う高齢者の方々に、私は自分の経験を語ります。
「もし、体に異変を感じたら、迷わず救急車を呼んでください」と。
「あの時」の二の舞を繰り返してほしくないから。
「今」を大切に生きてほしいから。
そして、私自身も「あの時」の教訓を胸に、
「これから」を一日一日大切に生きていきたいと思っています。
後悔の先に:心臓病と生きる私が伝えたいこと