高市総理が選択的夫婦別姓に「慎重な立場」と明言|参議院予算委員会での発言を詳しく解説
- ① 参議院予算委員会での発言内容(2026年3月16日)
- ② 「旧氏の通称使用拡大」と「選択的夫婦別姓」はどう違うのか
- ③ 高市政権のこれまでの対応と経緯
- ④ 各党の立場まとめ(対照表)
- ⑤ 女性天皇をめぐる議論にも慎重姿勢
- ⑥ 世論・社会の反応
- ⑦ よくある質問(FAQ)
- ⑧ 今後の展望と課題
- ⑨ まとめ
① 参議院予算委員会での発言内容(2026年3月16日)
2026年3月16日(月)、参議院予算委員会において、選択的夫婦別姓をめぐる議論が行われました。立憲民主党の蓮舫参院議員が「総理は選択的夫婦別姓、別氏制には反対ですか」と直接問い質したのに対し、高市総理は次のように答弁しました。
この発言は、高市総理が選択的夫婦別姓の導入に反対とは明言しつつも、「慎重」という表現を使い、完全否定は避けた形になっています。一方で旧氏(旧姓)を通称として使いやすくすることを推進する姿勢を改めて強調しました。
さらに高市総理は、「選択的夫婦別氏制度と旧氏使用の拡大は全く別物だ」との認識を示し、両者を明確に区別する姿勢を取っています。
② 「旧氏の通称使用拡大」と「選択的夫婦別姓」はどう違うのか
この問題を理解するには、二つの制度の違いを知ることが大切です。混同されやすいため、わかりやすく整理します。
旧氏(旧姓)の通称使用拡大とは?
結婚によって姓が変わった人が、職場や公的な書類などで結婚前の姓(旧姓)を使えるようにする制度です。戸籍上の姓は夫婦どちらかの姓に統一(同姓)されますが、日常生活では旧姓を使えるようにします。高市政権は、この「通称使用」を法律で正式に認めることを目指しています。
- 戸籍は夫婦同姓のまま変わらない
- 職場・公的書類・運転免許証・住民票などで旧姓を使えるようにする
- 旧姓のみを記載できる「旧姓単記」も検討中
- 夫婦同姓の原則は維持
選択的夫婦別姓とは?
結婚する際に、夫婦が話し合い、同姓にするか別姓にするかを「選択できる」制度です。希望する夫婦は結婚後も別々の姓を名乗ることができます。戸籍制度そのものを変える必要があり、より根本的な制度変更を伴います。
- 結婚時に同姓・別姓を選べるようにする
- 希望する夫婦は結婚後も別々の姓を名乗れる
- 戸籍制度の改正が必要
- 子どもの姓をどうするかなど制度設計が複雑
高市総理は「この二つは全く別物だ」と強調しており、通称使用の拡大で対応できると考えています。一方、選択的夫婦別姓を求める人たちは「通称使用では問題の根本的な解決にならない」と訴えています。
③ 高市政権のこれまでの対応と経緯
高市政権は発足当初から選択的夫婦別姓の導入に慎重な姿勢を取り続けており、代わりに旧姓の通称使用を広げる方針を打ち出してきました。主な経緯を時系列で整理します。
■ 第1次高市内閣(2025年10月発足)
高市早苗首相は内閣発足時、平口洋法相に「旧姓の通称使用における課題の整理と必要な検討を行い、さらなる拡大に取り組む」と指示しました。一方で閣僚指示書には選択的夫婦別姓への言及はなく、導入に改めて背を向けた形となりました。
■ 2026年1月26日 党首討論会
高市首相は「国も地方公共団体も企業も通称使用を認める。通称使用をより便利にしようというのが私たちの提案だ」と説明しました。選択的夫婦別姓については言及をほぼ回避し、保守層への配慮がうかがえる内容でした。
■ 2026年2月18日 第2次高市内閣 閣僚指示書
第2次高市内閣が発足し、閣僚指示書の全容が明らかになりました。旧姓の通称使用に加え、公的証明書などに旧姓のみを記載できる「旧姓単記」の検討を関係閣僚に指示しました。この指示書にも選択的夫婦別姓への言及はありませんでした。
■ 2026年3月16日 参院予算委員会(本日)
立憲民主党の蓮舫議員の質問に対し「慎重な立場だ」と明言。通称使用の拡大と選択的夫婦別姓を「全く別物だ」と区別する姿勢を改めて示しました。
④ 各党の選択的夫婦別姓をめぐる立場(対照表)
| 政党 | 立場 | 主な方針・内容 |
|---|---|---|
| 自由民主党(高市政権) | 慎重・反対寄り | 旧姓の通称使用法制化を目指す。夫婦同姓の原則は維持。「旧姓単記」を検討中。 |
| 日本維新の会 | 代替案を推進 | 同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する方針。 |
| 立憲民主党 | 導入賛成 | 選択的夫婦別姓の早期実現を主張。今国会での法案成立を求めている。 |
| 公明党 | 導入賛成 | かつては導入を支持。中道改革連合として立憲と共に法案審議を求めていたが、衆院選で議席を大きく減らした。 |
| 国民民主党 | 導入賛成 | 選択的夫婦別姓の「導入」を公約に明記。 |
| 日本共産党 | 即時実現を主張 | 夫婦同姓の強制がアイデンティティの喪失や経済的不利益をもたらすとして、「今すぐ実現」を訴える。 |
| 参政党・日本保守党 | 反対 | 「伝統的な家族観を守る」として明確に反対。 |
| れいわ新選組・社民党 | 導入賛成 | 選択的夫婦別姓の実現を公約に掲げる。 |
現在の国会では、2026年の衆院選で自民党が圧勝した影響から、選択的夫婦別姓の導入を求める勢力は国会内で大きく縮小しています。導入を訴えた立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は議席を3分の1以下に減らしており、法案成立の見通しは立っていない状況です。
⑤ 女性天皇をめぐる議論にも「慎重」姿勢
同日の参院予算委員会では、選択的夫婦別姓のほかに、皇位継承に関する議論も行われました。蓮舫議員が女性天皇への法改正について問うと、高市総理は次のように述べました。
高市総理は女性天皇をめぐる議論についても「機が熟していない」として慎重な考えを示しました。伝統的な皇位継承の在り方を重視する姿勢が、選択的夫婦別姓への対応と一貫していることが見て取れます。
⑥ 世論・社会の反応
選択的夫婦別姓をめぐっては、日本社会で長年にわたり議論が続いています。近年の各種世論調査では、選択的夫婦別姓の「賛成」が「反対」を上回る傾向が続いており、特に若い世代や女性に賛成意見が多い傾向があります。
賛成派の主な意見
- 仕事上の実績や人間関係が姓の変更によって断絶されてしまう
- 旧姓を通称で使うことには限界があり、公的な場面で混乱が生じる
- 個人のアイデンティティとして大切にしてきた姓を変えることへの精神的負担が大きい
- 国際的なビジネス場面でパスポートと名刺の姓が異なることでトラブルが起きる
- 先進国でほぼすべての国で夫婦が別姓を選べる制度があるなか、日本だけが強制同姓を維持している
反対・慎重派の主な意見
- 夫婦が同じ姓を名乗ることで家族の一体感が生まれる、という伝統的価値観を大切にしたい
- 子どもの姓をどちらにするかで家族内に混乱が生じる可能性がある
- 旧姓の通称使用を拡大すれば実質的な問題は解決できる
- 制度変更のコストや社会への影響を慎重に検討すべき
高市政権は保守層の支持を意識しながらも、完全な否定は避け「慎重」という表現を選んでいます。一方で旧姓通称使用の法制化という実務的な対応を進めることで、反発を最小限に抑えようとしているとみられます。
⑦ よくある質問(FAQ)
⑧ 今後の展望と課題
高市政権は今後、旧姓の通称使用に関する法案を今国会(2026年通常国会)に提出する方針です。旧姓単記を含む制度の具体的な設計はこれからとなっており、どのような形で法案がまとまるかが注目されます。
旧姓通称使用法制化の課題
- どの書類・場面で旧姓の使用が認められるか(範囲の設定)
- 旧姓単記を認める場合の戸籍法や住民基本台帳法の改正が必要
- 民間企業や金融機関における対応の統一
- パスポート・国際的な書類での取り扱い
- 選択的夫婦別姓を求める人たちの納得を得られるか
選択的夫婦別姓の議論の行方
現在の国会の勢力図では、選択的夫婦別姓の法案が成立するのは当面難しい状況です。しかし、世論調査での賛成意見の高さや、国際社会からの働きかけは続いており、将来的な政治状況の変化によっては再び議論が高まる可能性があります。
また、2025年秋の参院選に向け、選択的夫婦別姓が再び争点になるかどうかも注目されます。各党が選挙戦略の中でどのような立場を打ち出すかが、今後の議論の方向性を左右するとみられます。
⑨ まとめ
- 2026年3月16日、高市総理は参院予算委員会で選択的夫婦別姓の導入について「慎重な立場だ」と明言した
- 旧氏の通称使用拡大と選択的夫婦別姓は「全く別物だ」と区別し、通称使用の法制化を推進する方針を改めて示した
- 高市政権は「旧姓単記」の検討も指示しており、旧姓を公的書類に単独記載できるよう制度整備を進める予定
- 現在の国会では自民党が圧倒的多数を持ち、選択的夫婦別姓の導入は当面難しい状況
- 女性天皇をめぐる議論についても「機が熟していない」として慎重姿勢を示した
- 世論調査では選択的夫婦別姓の賛成が多数を占めており、政府の方針との乖離が続いている
今後も参議院での審議や通常国会の動向、そして法案の具体的な内容が注目されます。当サイトでは引き続き、選択的夫婦別姓をめぐる動向をわかりやすくお届けしていきます。