冬の章(静寂とぬくもり)
- 寒風に 膝が鳴くのも 友の声
- 湯たんぽと 昔話が よく似合う
- 白髪にも 雪が似合うと 孫が言う
- コートより 人のぬくもり 恋しくて
- こたつより 看護師の笑み ぬくもりで
- デイの湯に 沈む手足が 語り出す
- カレンダー 残りわずかの 感謝かな
- こたつ会議 病の話で 花が咲く
- 手袋を なくして笑う その余裕
- おでん鍋 家族の笑みが 湯気となる
- 寒稽古 リハの先生も 寒そうに
- 白い息 見つめて今日も 生きている
- 大掃除 リハビリ兼ねて 窓ピカピカ
- 寒風に 杖も小さく 震えてる
- 除夜の鐘 数える前に 寝落ちする
- 鏡餅 積もる年輪 誇らしや
- 手すりにも 今年の感謝 撫でて言う
- 新年の 抱負に書いた 「歩けるぞ」
- 寒中見舞い 筆が震えて 味が出る
- 手の皺に ぬくもり戻る 春を待つ
リハビリ・介護・通院編
- 今日もまた 機械と話す リハ時間
- 医師の顔 昨日より若い 気がして
- 点滴の 滴りリズム 子守唄
- 待合室 季節の話で 友が増え
- 注射より 看護師の声 痛み消す
- MRI 閉所で思う 妻の顔
- リハ仲間 転んで笑う 強き人
- 「あと一歩」 言われ十年 踏み続け
- カルテにも 笑顔の欄を 作りたい
- ベッドより 外の青空 まぶしくて
- 付き添いの 娘が母に なっていた
- 病院の 食堂カレーが ごちそうに
- 看護師の 筆跡やさし 心軽く
- リハ先生 叱って褒めて 泣かせる人
- 「大丈夫?」 言われるたびに 元気出る
- 退院日 歩幅広げて 拍手浴び
- 車椅子 押す妻よりも 前を向く
- 点滴台 まるで杖だと 笑う声
- 病室に 小さな春の ポスター貼り
- 病とて 話せば友に 変わるもの