
高齢者の一人暮らし、その時どうする?家族が抱える安否確認の不安と対策
近年、日本では高齢者の一人暮らしが急速に増加しています。
これは、本人の「子どもに負担をかけたくない」「自立した生活を送りたい」
といった意思を尊重する選択でもあります。
しかし、一方で、離れて暮らす家族にとっては、
日々の安否確認が大きな心配事となります。
電話をかけても応答がないとき、新聞が数日溜まっているのを見つけたとき。
ほんの些細なことで、「もしも」の事態を想像し、胸が締め付けられるような
不安に襲われる方は少なくありません。
ここでは、高齢者の一人暮らしにおいて家族が直面する安否確認の問題点と、
それを解決するための具体的な対策について、詳しく解説します。
高齢者の安否確認に潜む「3つの壁」
家族が遠くに住んでいる場合、電話やメールが主な安否確認の手段となりますが、
そこにはいくつかの「壁」が存在します。
1. 物理的な距離と時間的制約の壁
多くの家族は、仕事や自身の家庭生活があるため、
頻繁に実家を訪れることは難しいのが現実です。
電話を数回かけても繋がらない場合、「何かあったのでは」という不安に駆られ、
遠方まで急いで駆けつけることになります。
しかし、毎回のように仕事や家庭の予定を調整するのは大きな負担となります。
また、深夜や早朝に連絡が取れない場合など、不安は時間帯を問いません。
いつでもすぐに駆けつけられるわけではない物理的な距離が、
精神的な負担を増幅させます。
2. 安否確認手段の限界の壁
電話やメールは便利ですが、これだけに頼る安否確認には限界があります。
電話に出られない:
体調不良でベッドから起き上がれなかったり、たまたま外出していたりして、
電話に出られないことはよくあります。
特に、高齢者はスマートフォンの操作に慣れていない場合もあり、
着信に気づかないことも珍しくありません。
「大丈夫」という言葉の裏: 心配をかけたくないという思いから、
本人が体調の悪さを隠してしまうこともあります。
電話口で「大丈夫」と答えていても、実際は体調を崩していると
いうケースも少なくありません。
新聞販売店や近隣住民に協力を求める方法も有効ですが、これもあくまで補助的なもの。
異常が確認されたとしても、そこから家族に連絡が入り、
駆けつけるまでには時間がかかります。
緊急時の即座の対応には限界があります。
3. 孤独死のリスクという最大の壁
これらの安否確認の遅れが、最も恐ろしい「孤独死」という事態に
つながる可能性があります。
孤独死は、発見の遅れが精神的にも社会的にも大きな影響を及ぼします。
ご家族にとっては、なぜもっと早く気づいてあげられなかったのか
という深い悲しみと後悔を残します。
孤独死は、誰にでも起こりうる問題です。このリスクをいかに軽減し、早期発見に
つなげるかが、高齢者の一人暮らしを支える上で最も重要な課題なのです。
家族の負担を減らす「多角的な安否確認」のススメ
これらの問題点を踏まえ、安否確認は一つの手段に頼るのではなく、複数のサービスや
地域のネットワークを組み合わせる「多角的なアプローチ」が有効です。
1. 公的なサービスや地域の見守り制度を活用する
緊急通報システム: 緊急時にボタン一つで通報できるシステムです。
京都市山科区の「あんしんネット119」のように、自治体が提供しているものが多く、
利用料が安価である場合もあります。
万が一の事態に、迅速な救急要請につながる最も確実な方法の一つです。
配食サービス:
食事の配達を通じて安否確認を行うサービスです。
定期的に配達員が自宅を訪問するため、異変があればすぐに気づいてもらえます。
栄養バランスの取れた食事も摂れるため、健康維持にも役立ちます。
2. 民間の見守りサービスを利用する
センサーによる見守り:
人感センサーや開閉センサーを自宅に設置し、一定時間動きがない場合に
異常を検知して家族に通知するサービスです。
カメラを使わないものが多く、プライバシーを気にされる方にも適しています。
見守りロボット・AIスピーカー: 会話を通じて安否確認を行ったり、服薬時間の
リマインダー機能があったりするなど、多機能な見守りサービスも増えています。
3. 地域コミュニティとの連携
民生委員・社会福祉協議会: 地域の福祉活動を担う専門家や団体です。
高齢者の状況を把握し、必要な支援につなげてくれます。
近隣住民との関係づくり: 普段から近所の方と挨拶を交わすなど、
ゆるやかなつながりを持つだけでも、いざという時の助けになります。
まとめ:
一人で悩まず、相談することから始める
高齢者の一人暮らしにおける安否確認の問題は、ご家族だけの
努力で解決できるものではありません。
遠方に住んでいる家族が抱える不安は尽きませんが、まずは一人で抱え込まず、
お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみることをお勧めします。
専門家が様々な公的サービスや民間の見守りサービスを紹介し、
具体的な解決策を一緒に考えてくれます。
不安を安心に変える第一歩は、助けを求めること。
そして、社会の力を借りながら、高齢者自身が生き生きと
安心して暮らせる環境を整えていくことが大切です。