後期高齢者が抱える主要な悩みとその具体的な対処法
後期高齢者の方々が抱える悩みは多岐にわたりますが、特に「病気」「介護」
「お金」「社会とのつながり」に関する不安が上位を占めます。
これらの悩みは、単独で存在するのではなく、互いに関連し合っていることが多く、
包括的な対策が重要です。
ここでは、ランキング形式で挙げられた7つの悩みについて、
具体的な対処法を詳しく解説します。
1位：病気になる不安
長寿社会において、健康寿命をいかに延ばすかが最大の関心事です。
病気への不安を解消するためには、以下の対策が有効です。
定期的な健康診断と予防接種:
自身の健康状態を正確に把握することが第一歩です。
年に一度の健康診断や、インフルエンザ、肺炎球菌などの予防接種を
欠かさず受けることで、重症化のリスクを軽減できます。
生活習慣の見直し:
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠は、生活習慣病の予防に不可欠です。
例えば、ウォーキングや軽い体操を日課にする、塩分や糖分を控えめにするなど、
無理のない範囲で継続することが大切です。
かかりつけ医を持つ:
日頃から気軽に相談できる「かかりつけ医」を持つことで、些細な体調の
変化でも早めに相談でき、病気の早期発見・早期治療につながります。
2位：介護が必要になる不安
いつか介護される立場になるかもしれないという不安は、誰しもが抱くものです。
介護予防の取り組み: 介護が必要になる原因の多くは、
運動機能の低下や認知機能の低下です。
地域の介護予防教室に参加したり、レクリエーション活動に積極的に
参加したりすることで、心身の機能を維持・向上させることができます。
介護保険制度の理解:
自分がどのような介護サービスを受けられるのか、事前に介護保険制度に
ついて調べておくことが重要です。
地域包括支援センターなどに相談することで、具体的な
サービス内容や手続きについて知ることができます。
家族との話し合い:
将来、もし介護が必要になった場合に備え、家族と「どのような介護を
受けたいか」「誰に相談するか」などを話し合っておくことで、
いざという時の混乱を防ぐことができます。
3位：認知症になる不安
認知症に対する不安は、自分らしさが失われることへの恐怖に直結します。
脳を活性化する習慣:
読書、計算、パズル、新しい趣味の学習など、脳に刺激を与える活動を
日常的に取り入れることが有効です。
社会との積極的な交流:
人との会話や交流は、脳の活性化に非常に効果的です。
地域のコミュニティに参加したり、ボランティア活動をしたりすることで、
孤独を防ぎ、認知症予防にもつながります。
早期発見と早期相談: 認知症は早期に発見し、適切な治療やケアを
始めることで進行を遅らせることができます。
「もの忘れ外来」などの専門機関を訪れることを検討しましょう。
4位：社会的つながりがなくなること
定年退職などを機に、地域や社会とのつながりが希薄になることは、
孤独感や生活への意欲低下につながります。
趣味やサークル活動への参加: 昔からの趣味を再開したり、新しい趣味を
見つけて地域のサークルや教室に参加したりすることで、同じ興味を
持つ仲間と出会うことができます。
ボランティア活動への参加: これまでの経験や知識を活かして、地域の
子どもたちの学習支援や、地域の清掃活動など、ボランティア活動に
参加することで、社会に貢献しているという実感を得られ、
生きがいにもつながります。
デジタルツールを活用した交流: スマートフォンやタブレットを使い、
SNSやビデオ通話で遠方に住む家族や友人とつながることも、
孤立を防ぐ有効な手段です。
5位：収入が減少すること & 6位：老後資金の不足に対する不安
退職後の収入減少や、老後資金に対する不安は、生活の質に直接影響するため、
計画的な対策が必要です。
収支の把握と見直し:
まずは現在の収入と支出を正確に把握し、無駄な出費がないかを
見直すことが重要です。
家計簿をつける、固定費を見直すなどの方法があります。
資産運用の検討:
余裕資金がある場合は、専門家に相談しながら、リスクの少ない資産運用を
検討するのも一つの方法です。
ただし、無理な投資は避け、自身のライフプランに合った方法を選びましょう。
公的制度の活用:
年金制度や高額療養費制度、医療費控除など、国や自治体の制度を
正しく理解し、活用することで、家計の負担を軽減できます。
7位：仕事ができなくなること
仕事は収入だけでなく、生きがいや社会との接点にもなります。
再雇用制度の活用:
定年後も、これまでの職場で再雇用制度を利用して働くという選択肢があります。
シルバー人材センターの活用: 各市町村にある「シルバー人材センター」では、
高齢者向けの多様な仕事を紹介しています。
スキルアップと資格取得: 興味のある分野のスキルを身につけたり、資格を
取得したりすることで、新たな仕事に挑戦する道が開けるかもしれません。
これらの対処法は、一つひとつは小さなことでも、継続することで
大きな安心感と希望を生み出します。
一人で抱え込まず、地域包括支援センターや専門機関に相談することも大切です。
地域包括支援センターは、全国すべての市町村に設置されています。
これは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、
国が定めた制度に基づいています。
地域包括支援センターでは、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの
専門職がチームとなって、高齢者の介護、福祉、健康、医療に関する総合的な
相談や支援を行っています。
高齢者やそのご家族が抱えるさまざまな悩みや困りごとについて、
無料で相談に応じています。