石破資金17億円の闇と
高市・片山ラインの激突!
政策活動費の真相と自民党政権交代の全内幕
石破17億円問題の全容——政策活動費とは何か
そもそも「政策活動費」とは何か。政治資金規正法のもと、政党が政策立案や党活動のために党幹部個人に支出できる資金のことだ。政治家個人への寄付は同法で原則禁止されているが、政策活動費は「政党から政治家への支出」とみなされるため、この規制の抜け穴として長年活用されてきた。
問題の核心は使途の不透明さにある。受け取った政治家の名前は収支報告書に記載されるが、その後の使い道は一切開示義務がない。神戸学院大学の上脇博之教授が長年にわたり問題提起してきたように、これは「事実上の裏金の温床」ともいえる構造だ。
しんぶん赤旗が2024年10月4日に報じたこのスクープは、衆院選の告示直前というタイミングも相まって大きな反響を呼んだ。石破氏は首相として「可能な限り使途を明らかにする」と述べていたにもかかわらず、記者からの質問状に対して事務所は期限内に回答しなかった。
政策活動費は政治家個人が自由に使えるにもかかわらず、その先の使途報告義務が法律上存在しなかった(2024年当時)。国会議員への実質的な「無税の個人資金」として機能してきたとの批判が根強く、政治資金規正法改正の最大の争点の一つとなっている。
資金の流れを追う——時系列で見る受領記録
政治資金収支報告書の記録を丹念に追うと、石破氏への政策活動費の支出パターンには明確な特徴が見えてくる。選挙前に額が急増するのだ。これは偶然ではなく、選挙運動と密接に絡み合った運用実態を示唆している。
この数字が示すのは、石破氏が幹事長として「党の顔」として選挙を戦うたびに、巨額の資金が個人に渡っていたという事実だ。1回あたりの受領額が最大5,000万円に達したこともあり、「党の資金が幹事長個人の裁量で動く」という構造的問題の象徴ともいえる案件となった。
石破首相はまず過去に受け取った政策活動費の使途を公開すべきだ。政策活動費を受け取った政治家個人は使途の報告をする仕組みがなかったので、事実上の裏金になっている。
商品券配布スキャンダルと官房機密費疑惑
17億円問題が尾を引く中、2025年3月には新たな疑惑が浮上した。石破首相が同年3月3日に行った初当選議員との会食において、15人の議員側に10万円の商品券を配布していた疑いが報じられたのだ(朝日新聞・週刊文春)。
この問題が特に注目されたのは、原資をめぐる疑惑だ。配布された商品券の代金計150万円が、内閣官房機密費(報償費)から支出されたのではないかと指摘する声が上がった。しんぶん赤旗が情報公開請求で入手した文書によると、石破内閣は2024年10月の発足から2025年1月上旬までに4億円超の官房機密費を支出。過去の安倍・菅・岸田の各内閣の同期間比と比べても多い傾向にあった。
石破首相はこの疑惑を否定したが、過去に官房機密費でスーツ仕立て券や香典が配られてきた経緯が報じられていることもあり、国民の不信感は払拭されなかった。週刊文春は石破氏の「亡国の金銭感覚」と題した特集を組み、「クリーンなイメージとは程遠い金権体質」との見出しで報じた。
この一連のスキャンダルが直撃し、石破内閣の支持率は2025年3月に30.4%(産経新聞調査)にまで急落。発足以来の最低水準を記録した。石破首相自身が記者会見で「自分を見失っておった」と謝罪するに至り、政権基盤は大きく揺らぐこととなった。
政治資金不記載疑惑と元支援者の告発
2025年5月、さらに深刻な疑惑が浮上した。週刊文春が「石破首相”元側近”が告白する3,000万円献金」と題した記事を掲載。元支援者の下根貴弘氏(実業家)が、約10年間で3,000万円超を石破氏側に献金してきたが、政治資金収支報告書に記載されていなかったと実名で証言したのだ。
下根氏は父親と合わせて1枚2万円のパーティー券を多い時には300枚購入したと証言。「当然のことぐらいの感じで、秒で受け取っていた」と現金受け渡しの場面を詳細に語った。また、自民党総裁選の際には選挙資金として現金を直接手渡したこともあったという。
石破首相は国会で「記憶にございません」と全面否定した。しかし、石破首相側から文春に対する抗議や訂正要求、法的措置の動きは確認されなかった。下根氏は実名会見でも「うそ偽りはなく、求められれば国会の参考人招致や証人喚問にも出席する覚悟がある」と強調した。
| 疑惑の種類 | 概要 | 石破氏の対応 |
|---|---|---|
| 政策活動費17.5億円 | 幹事長時代(2012〜14年)に受領。使途は現在も不明 | 「可能な限り明らかにする」と述べるも、具体的開示なし |
| 商品券10万円配布 | 初当選議員15人側に商品券を配布。原資に官房機密費疑惑 | 会見で謝罪「自分を見失っておった」 |
| 旧石破派の不記載 | 旧石破派で政治資金収支報告書への不記載が確認 | 「事務的なミス」として訂正を表明 |
| 3,000万円献金不記載疑惑 | 元支援者が約10年間で3,000万円超を献金も報告書不記載と証言 | 国会で「記憶にございません」と全面否定 |
「石破降ろし」の深層——なぜ党内から追い詰められたか
石破政権への不満は、「政治とカネ」問題だけではなかった。2024年10月の衆院選で自公が過半数割れを喫し、少数与党という脆弱な政権基盤のなかで、石破氏のリーダーシップへの疑問が党内に蓄積されていった。
決定的だったのは、党内保守派との路線対立だ。石破氏は外交安全保障分野でやや慎重な姿勢を取り、靖国参拝を行わず、憲法改正にも積極的とはいえない姿勢が保守系議員の反発を買い続けた。「反石破の急先鋒」として名乗りを上げたのが、まさに高市早苗氏だった。
2025年9月、ついに石破茂首相は辞任の意向を固めた。後継を決める自民党総裁選が同年9月22日に告示され、10月4日に高市早苗氏が新総裁に選出された。
高市氏の総裁選出後、連立パートナーだった公明党が離脱を宣言するという前代未聞の事態が発生。臨時国会を召集しても高市氏が首相に指名される保証がなく、石破氏が首相を続けるという「自民党総裁と内閣総理大臣が別人」という異常な状況が一時生じた。最終的には高市氏が維新との連立協議を経て2025年10月21日に第104代首相として指名された。
高市早苗政権の誕生と片山さつきの役割
高市内閣が発足したのは2025年10月21日。日本憲政史上初の女性首相誕生という歴史的な瞬間だった。石破政権誕生からわずか1年での政権交代である。
高市政権の目玉人事として注目されたのが、片山さつき氏の財務相起用だ。財務大臣として女性が就任するのも初めてのことだった。
- 奈良2区選出、10期当選
- 経済安全保障担当大臣などを歴任
- 3度目の総裁選で悲願の総裁・首相就任
- 強固な保守路線・サナエノミクス(積極財政)
- 台湾有事に関する踏み込んだ発言で日中対立深刻化
- 内閣支持率は高水準を維持
- 旧安倍派(参院)
- 高市総裁選の推薦人に名を連ねた最側近の一人
- 元大蔵省(財務省)出身のエコノミスト
- 女性初の主計官を経験
- 2021年から高市氏と関係を深め、高市氏が公言するほどの信頼関係を構築
- NISAなど資産運用立国推進の論客
文藝春秋(2026年1月号)の報道によれば、高市氏と片山氏の関係は2021年に遡る。高市氏はその後、自身のセミナーなどで「高市早苗内閣になったら財務大臣は片山さつき」と公言するようになっていたという。その言葉は現実となった。
片山氏は元大蔵省官僚として財政規律の知識に長け、同時にNISA推進など積極的な資産運用政策にも理解を持つ。「財政タカ派と積極財政の橋渡し役」として、高市首相の「サナエノミクス」を財務面から支える役割を担っている。
高市・片山ラインとは何か——政策的背景と経済路線
「高市・片山ライン」という表現が永田町で頻繁に使われるようになったのは、2025年総裁選以降だ。両者の関係は単なる政治的盟友を超え、政策的に深く連動した「二枚看板」として機能している。
サナエノミクスの柱
高市政権の経済路線「サナエノミクス」は、安倍晋三元首相のアベノミクスを引き継ぎつつ、独自の色彩を加えたものだ。財務省原案に「しょぼいどころではない。やり直し」と言い放ち、4兆円以上を積み増した2025年11月の経済対策(総額21.3兆円)がその象徴だ。2026年度予算案は過去最高の122兆円規模に達した。
積極財政・減税路線を推進する高市首相と、財務省出身でありながらNISA推進論者でもある片山財務相の組み合わせは、「財務省との適度な緊張関係を保ちながら積極財政を実現する」という絶妙なバランスを生み出している。
安全保障・外交路線
高市首相は2025年11月の衆院予算委員会で「台湾への武力行使は日本の存立危機事態になりうる」と踏み込んだ発言をし、中国が強く反発。中国政府は日本への渡航自粛を呼びかけ、日中間の緊張が高まった。石破前首相はこの発言について「外交問題に発展する答弁をしてはいけない」と批判している。
しかし国内では、毅然とした対中姿勢が「鉄の女」的な評価につながり、支持率を押し上げる一因となった。米誌フォーブスが「世界で最もパワフルな女性100人」の3位に選出するなど、国際的な注目も集めた。
石破 vs 高市政権——政策の激突ポイント
現在も石破茂前首相は「物言う前首相」として、高市政権と真っ向から渡り合い続けている。それはただの感情的な対立ではなく、明確な政策的路線の違いから生まれるものだ。
| 政策分野 | 石破茂の立場 | 高市早苗の立場 |
|---|---|---|
| 外交・安全保障 | 慎重・多国間主義重視。台湾問題の想定発言に否定的 | 強硬保守路線。台湾有事=存立危機事態との踏み込み発言 |
| 財政政策 | 財政規律にも配慮した現実路線 | 積極財政・減税路線(サナエノミクス) |
| 憲法・歴史認識 | 靖国参拝せず。戦後80年談話に含みを持たせた発言 | 靖国参拝容認。戦後80年談話に強硬に反対 |
| 議員定数 | 衆院45議席自動削減法案を「世界の民主主義の中でも類例のない話」と批判 | 定数削減改革を推進 |
| 政治とカネ | 自身も疑惑を抱えながら改革を訴えた | 裏金問題関連議員を「適材適所」として要職起用 |
石破氏は2025年12月時点でもYouTube番組などを通じて「国家のためにいい仕事をしてもらうためには、言うべきことを与党の中から言わないといけない」と発言し、高市政権への批判を継続している。しかし党内では高い内閣支持率を背景に「物言えない空気」が広がり、石破氏の後に続く動きは表立って見られていない。
自民党保守化の行方と今後の政局展望
高市政権の誕生は、自民党が2012年の政権復帰以来積み重ねてきた「保守化」の最終的な帰結ともいえる。アベノミクスの継承から始まり、靖国問題や憲法改正論議を経て、ついに「安倍路線の後継者」を自任する政治家が頂点に立った。
石破降ろしの「ツケ」と今後の課題
しかし、石破降ろしがあまりに拙速だったことのツケも顕在化している。公明党との連立解消は長期的な政権運営に課題を残し、維新との連立もどこまで安定するかは不透明だ。また、「政治とカネ」問題に関与した議員を要職に起用したことで、政治改革への本気度を疑問視する声は消えていない。
片山財務相の影響力
片山財務相の存在感は日増しに高まっている。2025年秋の経済対策策定過程で財務省原案を突き返した高市首相を財務省との調整役として支え、物価高対策・消費税減税・賃上げ目標・金利引き上げといった財政の論点を一手に担う。「女性初の主計官」としての経歴が、財務省との交渉において実質的な影響力を発揮している。
石破・岸田の「沈黙と抵抗」
岸田文雄元首相は高市氏の要請を受けて「日本成長戦略本部」本部長に就任し、表向きには支持姿勢を示した。一方の石破氏は批判を継続するも、今後の政局のなかでどのような影響力を持てるかは不透明だ。派閥解散後の自民党において、反高市勢力を結集させる求心力は急速に低下している。
まとめ——「政治とカネ」改革は本当に進むのか
石破茂氏をめぐる17億円問題、商品券疑惑、不記載疑惑の一連の流れは、日本政治における「政治とカネ」の構造的問題がいかに根深いかを改めて示した。「クリーンな政治家」として有権者の期待を集めた石破氏もまた、その例外ではなかった。
政策活動費という「ブラックボックス資金」の廃止は、2024年の政治資金規正法改正論議でも最大の争点となった。制度的な穴を放置してきた自民党内の利害構造が、改革を阻み続けている。
一方、高市・片山ラインが推進するサナエノミクスは、短期的には高い支持率を誇るが、財政規律の観点から持続可能性を問う声も根強い。積極財政と金利上昇のジレンマをどう解決するかが、政権の中長期的な課題となるだろう。
石破氏が問い続ける「政治の透明性」という問題と、高市氏が掲げる「強い日本の再構築」という目標——この二つの課題を日本政治がどう折り合わせていくのか。2026年以降の政局は、まだ予断を許さない。
📌 本記事の要点まとめ
- 石破茂氏は自民党幹事長在任中の約2年間で政策活動費17億5,050万円を受領。使途は現在も未公開のままだ
- 2025年3月の商品券配布疑惑が直撃し、支持率は30%台に急落。石破自ら「自分を見失っておった」と謝罪した
- 元支援者が3,000万円超の献金不記載を実名告発。石破氏は「記憶にない」と否定したが、法的対応は取らなかった
- 2025年9月、石破首相が辞任表明。10月に高市早苗氏が日本初の女性首相として就任した
- 片山さつき財務相は女性初の財務大臣として就任。高市氏が長年「財務相は片山」と公言していた盟友関係が実現した
- 高市政権はサナエノミクス(積極財政)路線を推進。2026年度予算は過去最高122兆円規模に達した
- 石破前首相は現在も高市政権への批判を継続するが、党内の「物言えない空気」が反高市勢力の結集を阻んでいる
- 政策活動費という「裏金温床」の制度廃止は政治資金改革の核心だが、自民党内での利害対立が障壁となっている