
欧州・米国の太陽光発電政策と日本再エネの次なる一手【2026年版】
2026年、日本の再生可能エネルギー政策は大きな転換点を迎えています。 固定価格買取制度(FIT)を軸に急拡大してきた太陽光発電は、鴨川メガソーラーの認定失効問題に象徴されるように、 「量の拡大」から「質と合意形成」への転換を迫られています。
本記事では、欧州・米国を中心とした世界の再エネ制度を比較しながら、 日本が今後どのような制度設計を目指すべきかを多角的に考察します。
Ⅰ. FIT制度とは何か?世界共通の出発点
FIT(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電力を、 一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを国が保証する制度です。
この制度は、再エネが高コストだった時代に市場参入を促すため、 ドイツをはじめとする欧州諸国で先行導入され、世界中に広がりました。
日本でも2012年に本格導入され、太陽光発電の急速な普及を実現しましたが、 同時にコスト負担の増大や地域トラブルという課題も顕在化しました。
Ⅱ. ヨーロッパの再エネ政策:FITから次世代制度へ
1. ドイツ:FIT発祥国の制度進化
ドイツは世界で最も早くFIT制度を確立した国です。 2000年代初頭から太陽光発電を国家戦略として位置づけ、 市民・自治体・協同組合が主役となる分散型エネルギーを推進してきました。
現在のドイツでは、従来型の高額FITから、 入札制度(オークション)や市場連動型プレミアム制度へと移行しています。
- 発電コストの低下を前提とした競争導入
- 大規模集中型から地域分散型への回帰
- 住民出資モデルの優遇
特筆すべきは、地域合意と景観・環境配慮が制度に組み込まれている点です。
2. 北欧・フランス:環境価値を重視した再エネ
北欧諸国やフランスでは、再エネを単なる電源ではなく、 環境価値・地域価値を生む社会インフラとして捉えています。
そのため、以下のような制度設計が特徴です。
- 自然保護区域では大規模太陽光を原則制限
- 農業・景観と共存するソーラーシェアリング推進
- CO₂削減量に応じたインセンティブ付与
Ⅲ. アメリカの再エネ政策:市場主導型モデル
1. 連邦税制優遇(ITC・PTC)
アメリカでは、欧州のような全国一律FIT制度は採用されていません。 その代わりに強力なのが、税制インセンティブです。
- ITC(投資税額控除):設備投資額の一定割合を税控除
- PTC(生産税額控除):発電量に応じた税優遇
これにより、民間資本が再エネ市場に大量流入し、 テック企業・金融機関が主導する巨大市場が形成されました。
2. 州ごとの再エネ義務化(RPS)
さらに州単位では、RPS(再生可能エネルギー比率義務)が導入されています。
これは電力会社に対し、 「一定割合以上を再エネで供給せよ」と義務付ける制度で、 市場競争を通じてコスト削減と技術革新を促します。
Ⅳ. 環境配慮型再エネ事業モデルとは
欧米で共通しているのは、 環境・地域との調和を前提とした再エネ設計です。
代表的なモデル
- 市民出資型ソーラーファーム
- 農地共存型太陽光(アグリソーラー)
- 工場・都市屋根利用型PV
- 蓄電池・EV連動型エネルギー網
これらは単なる発電事業ではなく、 地域経済・雇用・防災と一体化したモデルとして評価されています。
Ⅴ. 日本への応用可能性と課題
日本は欧州・米国の制度をそのまま真似ることはできません。 しかし、以下の点は十分に応用可能です。
- FIT依存から段階的に脱却する設計
- 自治体主導・住民参加型モデルの拡充
- 環境影響と地域合意を制度に明文化
- 次世代技術(ペロブスカイト等)との融合
特に日本では、平地が少なく自然災害リスクも高いため、 「どこに、どう設置するか」を重視する制度改革が不可欠です。
Ⅵ. まとめ:2026年、日本の再エネ政策は次の段階へ
世界の再エネ政策はすでに、 FIT一本足打法の時代を終えています。
欧州の制度進化、米国の市場主導モデルは、 日本に「再エネは制度設計次第で社会を豊かにも分断もする」 という重要な示唆を与えています。
鴨川メガソーラー問題を教訓に、 日本は量から質へ、中央集権から地域共生へと 再エネ政策を進化させる必要があります。