
希望の扉
Windows95との出会いが変えた私の人生|機械音痴からの脱却
📖 前回のあらすじ
36歳で心筋梗塞を発症し、心臓の約半分を失った私。出来る仕事を転々としながら生活してきました。そして発症から10年後、両足の動脈が閉塞。体力の衰えと戦いながらも、前向きな気持ちを保とうと必死でした。
そんな時、運命の出会いが訪れたのです。1995年、Windows95のブームでした…
機械音痴だった私が、なぜパソコンに救われたのか。
体力の限界を感じながらも、「まだ何かできるはずだ」と信じていた私の前に現れたのは、青い空のような画面でした。
Windows95―それは私に、新しい可能性を見せてくれた希望の扉だったのです。
📑 この記事の内容
1995年、人生を変えた青い空との出会い
心筋梗塞発症から10年が経過した1995年。私は46歳になっていました。
体力の衰えは日に日に進み、できる仕事も限られてきていました。両足の動脈閉塞により、長時間の立ち仕事はもちろん、歩くことさえ困難になりつつあった時期です。
「このまま何もできずに終わってしまうのか…」
そんな不安が、毎日私の心を重くしていました。外に出ることも減り、家にいる時間が増えるにつれて、閉塞感は強まるばかりでした。
そんなある日、テレビから流れてきたニュースに、私は釘付けになりました。
「Windows95、本日発売開始!全国の家電量販店に長蛇の列」
画面に映し出されたのは、深夜にもかかわらず店の前に並ぶ人々の姿。そして、青い空のような画面が次々と映し出されていました。
機械ものが苦手だった私の心が動いた瞬間
正直に言えば、私は機械ものが大の苦手でした。
- ビデオデッキの録画予約すらできない
- 電子レンジのボタンも最低限しか使えない
- ATMの操作も緊張する
そんな私が、なぜパソコンに興味を持ったのか。
💡 私がパソコンに希望を感じた理由
それは、「体力がなくても、座ったままで何かができる」という可能性を感じたからです。
テレビの画面越しに見たWindows95は、難しそうな文字だけの画面ではなく、絵や写真がたくさん使われた、わかりやすそうな画面でした。
「もしかしたら、機械音痴の私でも使えるかもしれない…」
なぜ機械音痴の私がパソコンを始めたのか
Windows95との出会いは、まさに運命的なものでした。
体力の衰えと向き合う日々
当時の私の身体状況は、以下のようなものでした。
心筋梗塞後の後遺症
心臓の約半分が壊死により機能を失っており、少しの運動でも息切れがしました。階段の上り下りは特に辛く、一段一段がまるで山を登るような感覚でした。
両足の動脈閉塞
発症から10年後、両足の動脈が閉塞してしまいました。少し歩くだけで足が痛くなり、休憩が必要になります。買い物に行くのも一苦労でした。
仕事の制限
体力を使う仕事はできず、座ってできる軽作業を転々としていました。しかし、それすらも徐々に難しくなってきていたのです。
ある日、職場で立ち上がろうとした時、めまいがして倒れそうになりました。
周りの人に支えられながら、「もう限界かもしれない」と感じた瞬間でした。
でも、まだ46歳。家族もいる。諦めるわけにはいかない―
パソコンという新しい可能性
Windows95のニュースを見た翌日、私は思い切って家電量販店に向かいました。
店員さんに恐る恐る声をかけました。
「あの…機械が苦手な人間でも、パソコンって使えるものなんでしょうか?」
店員さんは優しく笑って、こう答えてくれました。
「Windows95なら大丈夫ですよ。今までのパソコンとは全然違います。マウスで画面をクリックするだけで、いろんなことができるんです」
その言葉に背中を押され、私は人生で初めてパソコンを購入する決断をしました。
Windows95という革命―なぜ使いやすかったのか
今振り返ると、Windows95は本当に革命的なシステムでした。
それまでのパソコンとの違い
🖥️ Windows95以前のパソコン
- 黒い画面に白い文字だけ
- キーボードでコマンドを入力する必要がある
- 一文字でも間違えると動かない
- マニュアルは分厚く、専門用語だらけ
✨ Windows95の画期的な点
- カラフルで見やすい画面
- マウスでクリックするだけで操作できる
- アイコン(絵)で機能がわかる
- 「スタートボタン」から始められる
初めてパソコンの電源を入れた日
購入したパソコンを自宅に持ち帰り、セットアップしてもらった日のことは今でも鮮明に覚えています。
電源ボタンを押すと、「ジャーン♪」という音楽が流れて、青い空のような画面が現れました。
その瞬間、なぜか涙が出そうになりました。
「この画面の向こうに、何か新しい世界がある気がする…」
店員さんに教わった通り、画面左下の「スタート」ボタンをクリック。すると、メニューがパッと開きました。
それだけのことなのに、私にとっては大きな第一歩でした。
マウス操作から始めた小さな一歩
最初は、マウスを動かすだけで精一杯でした。
- マウスを動かすと、画面の矢印(ポインター)が動く
- ボタンを「カチッ」と押すとクリック
- 2回続けて押すとダブルクリック
今では当たり前のことですが、当時の私には全てが新鮮で、同時に難しく感じられました。
特にダブルクリックが難しかったです。2回押すタイミングが合わず、何度も失敗しました。
でも、失敗しても画面が壊れるわけではありません。何度でもやり直せる―それがパソコンの良いところでした。
ブラインドタッチへの果てしない挑戦
マウス操作に慣れてきた頃、次の大きな壁が立ちはだかりました。
それは、キーボード入力でした。
キーボードという高い壁
パソコンを始めて1ヶ月。文字を入力する必要性を感じるようになりました。
しかし、キーボードには無数のキーが並んでいます。
最初は一本指で、キーを探しながら打っていました。
「あ」を入力するのに、「A」のキーを探して…「I」のキーを探して…「Enter」を押して…
一文字打つのに10秒以上かかることもありました。
ブラインドタッチとの出会い
ある日、パソコン雑誌でこんな記事を見つけました。
「ブラインドタッチができれば、キーボードを見なくても文字が打てる!」
最初は信じられませんでした。キーボードを見ずに文字を打つなんて、魔法のように思えたのです。
でも、記事には「誰でも練習すればできるようになる」と書いてありました。
💪 私が決意した理由
「もし、キーボードを見なくても文字が打てるようになれば…」
「体力の衰えを、技術で補えるかもしれない」
初めて文章を打てた日の感動
練習を始めて3ヶ月が経った頃、忘れられない出来事がありました。
💭 体験談
ふと、キーボードを見ずに「おはようございます」と打てたのです。
画面を見ると、確かに「おはようございます」と表示されていました。
その瞬間、涙が溢れました。
「できた…本当にできた!」
46歳にして、人生で初めて習得した「技術」でした。
6️⃣ パソコンが心の支えになるまで
ブラインドタッチができるようになってから、私の世界は大きく広がりました。
できることが増えていく喜び
文字が打てるようになると、様々なことができるようになりました。
🌟 パソコンでできるようになったこと
- メールで友人とやり取り
- 日記をワープロで記録
- インターネットで情報収集
- オンラインで買い物
- 家計簿をエクセルで管理
- 写真を整理・保存
- 簡単な文書作成
特に役立ったインターネット検索
当時、インターネットはまだ普及し始めたばかりでしたが、私にとって大きな助けとなりました。
医療情報の検索:
心臓病について、自分で情報を調べられるようになりました。病院で聞きそびれたことも、帰宅後にゆっくり調べられます。
同じ病気の人との交流:
心臓病の患者さんが集まる掲示板を見つけました。自分だけが苦しんでいるわけではないと知り、大きな励みになりました。
足の血流改善の情報:
動脈閉塞について調べ、自宅でできるマッサージ方法やストレッチを知ることができました。
💭 体験談
ある日、インターネットで見つけた足のマッサージ方法を試してみました。
すると、少しですが血流が改善した感じがしたのです。
「情報を得る力」の大切さを、身をもって実感した瞬間でした。
孤独からの解放
体力の衰えにより、外出する機会が減っていた私。友人との交流も少なくなっていました。
しかし、パソコンとインターネットが、その孤独を和らげてくれました。
「体は動かなくても、心は世界中の人々とつながることができる」
これは、私がパソコンを通じて得た、最も大きな気づきでした。
7️⃣ 技術が教えてくれた「まだできること」
Windows95との出会いから数年。私はパソコンを使いこなせるようになっていました。
自信の回復
それまでの私は、「体力が衰えた = 何もできない」と思い込んでいました。
しかし、パソコンを通じて、こう思えるようになったのです。
💡 パソコンが教えてくれたこと
- 体力がなくても、頭を使えば様々なことができる
- 年齢は関係ない。学ぶ意欲があれば上達できる
- 諦めなければ、必ず道は開ける
- 技術は、制限を可能性に変えてくれる
家族の反応
最初、家族は私がパソコンを始めることに懐疑的でした。
「機械音痴なのに、大丈夫?」
「高いお金を出して、使えなかったらもったいない」
しかし、徐々にブラインドタッチができるようになり、メールやインターネットを使いこなす姿を見て、家族の反応は変わっていきました。
💭 体験談
ある日、娘がこう言ってくれました。
「お父さん、すごいね。私よりタイピング早いよ」
その一言が、どれだけ嬉しかったことか。
体力は衰えても、まだ家族に認めてもらえることがある―それが何よりの励みになりました。
新しい生きがいの発見
パソコンができるようになってから、私は新しい目標を持つようになりました。
- もっと速く正確にタイピングできるようになりたい
- エクセルを使って、家計管理を効率化したい
- 写真編集ソフトを使いこなしたい
- ホームページを作ってみたい
体は思うように動かなくても、学ぶことはいくらでもある―そう気づかせてくれたのがパソコンでした。
8️⃣ 同じ悩みを持つ方へ―私からのメッセージ
この記事を読んでくださっている方の中には、私と同じように体力の衰えに悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
「もう遅い」はありません
私がパソコンを始めたのは46歳。決して若いとは言えない年齢でした。
それでも、毎日コツコツと練習を続けることで、ブラインドタッチができるようになりました。
🌱 大切なのは「始めること」
完璧を目指す必要はありません。
一日10分でも、週に3回でも構いません。
小さな一歩を積み重ねることが、大きな変化につながります。
体調管理と両立する工夫
私が実践してきた、体調管理とパソコン学習の両立方法をお伝えします。
1️⃣ 無理をしない
体調が悪い日は、思い切って休む。これが最も大切です。
私は今でも、手の届く場所に血圧計と体温計を置いています。
2️⃣ 時間を決める
「今日は何時間やる」ではなく、「毎日30分」というように、継続できる時間を設定しました。
3️⃣ 姿勢に気をつける
長時間のパソコン作業は、体に負担がかかります。背筋を伸ばし、画面との距離を適切に保つことが大切です。
4️⃣ こまめに休憩
30分作業したら、5-10分休憩する。この習慣が、長期的な継続につながります。
技術は味方です
Windows95から始まった私のパソコン生活。今では生成AIと出会い、さらに新しい可能性を感じています。
「技術は、私たちの限界を可能性に変えてくれる味方です」
体力が衰えても、できることはたくさんあります。
年齢を重ねても、学ぶことに遅すぎるということはありません。
✨ あなたにも必ずできます
私にできたのですから、きっとあなたにもできます。
大切なのは、諦めずに一歩を踏み出す勇気です。
📌 この記事のまとめ
- 1995年、Windows95が私の人生を変えた
- 機械音痴でも、諦めずに練習すれば技術は身につく
- ブラインドタッチ習得まで6ヶ月かかったが、毎日の積み重ねが大切
- パソコンは体力の衰えを補う強力なツール
- 孤独から解放され、新しい世界が開けた
- 年齢に関係なく、学ぶ意欲があれば上達できる
- 体調管理と両立しながら、自分のペースで続けることが重要
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