
「蜃気楼」が消えた後に残る、冷酷な現実と逃走の足音。
かつて世界の銀行ランキングを独占し、経済の頂点に君臨した中国の四大国有銀行。しかし今、その背後で「責任」という名の処刑台から逃れるための、不可解なトップ人事が相次いでいます。中国建設銀行の田国立氏の退任、CICC(中国国際金融)の強引な合併再編、そして国際金融の覇権を狙ったAIIBの事実上の機能不全……。
今、中国の金融システムの中で何が起きているのか。なぜ「治安を守るはずの警官」までもが困窮し、国民への締め付けを強めているのか。最新の報道を基に、この「金融地獄」の全貌を、鋭く解剖しています。
1. 中国建設銀行(CCB)トップ交代の深層:逃げ切った重鎮
中国四大商業銀行の一翼、中国建設銀行(CCB)において、田国立氏が退任し、張金良氏が董事長に就任しました。表面上は「年齢による辞任」とされていますが、中国の政治風土を知る者にとって、このタイミングでの退場は極めて不自然な「逃亡」に見えます。
1-1. 責任追及前の「身辺整理」
中国の金融界では現在、過去の過剰融資や不動産バブルへの加担に対する「粛清」が吹き荒れています。田国立氏は中国銀行会長から建設銀行へと渡り歩いた金融界の重鎮。バブルが完全崩壊し、不良債権の山が制御不能になる直前に身を引いたことは、責任を負わされる前に「勝ち逃げ」を図ったという見方が有力です。
1-2. 「若返り」という名のスケープゴート探し
国有銀行の世代交代は進められていますが、それは同時に、新しい世代に「崩壊の処理」を押し付けることでもあります。張金良新体制に課せられたのは、蜃気楼のごとく消えた16兆元超の資産(中国銀行の例)という幻想を、いかに維持するかという絶望的なミッションです。
2. CICCと銀河証券の合併:共産党による金融の「直接支配」
中国最高峰の投資銀行とされるCICC(中国国際金融)が、銀河証券を合併し国内3位の巨大証券が誕生する動きがあります。この合併劇の本質は、規模の拡大ではなく「国家による完全管理」にあります。
🚫 「黄金株」とトップの謎の退任
CICCは政府出資分への優先権を保障する「黄金株」を発行し、実質的に政府の指図に従う組織へと変貌しました。国際的な金融エリートが集う場所であったCICCから経営トップが退任した事実は、自由な資本主義的活動の終焉を意味しています。もはや中国に「独立した金融機関」は存在しません。
3. AIIB(アジアインフラ投資銀行)の落日:習近平の夢の終わり
2013年、習近平氏の肝いりで設立されたAIIB。当時は111ヶ国が参加を表明し、日米の不参加をよそに英国や西欧諸国が雪崩を打って参加しました。しかし、2025年現在の姿はどうでしょうか。
3-1. パキスタンに見捨てられたAIIB?
2025年12月のパキスタン有力紙「DAWN」の報道によれば、パキスタンの重要プロジェクト(送電強化・国有企業変革)への7.3億ドルの融資は、アジア開発銀行(ADB)によって行われました。そこにAIIBの影はありません。本来、シルクロード(一帯一路)の拠点であるパキスタンこそ、AIIBの主戦場であるはずなのに、です。
3-2. 単独融資の喪失とトップの引退
10年間総裁を務めた金立群氏の引退により、AIIBの第一幕は終わりました。近年、AIIBは単独での案件が激減し、皮肉にも日米が主導するADBとの「協調融資」でしか存在感を示せていません。中国自身の外貨準備が枯渇し、世界に金をばら撒く体力が失われたことが、AIIBの衰退という形で露呈しています。
4. 国内の惨状:銀行前の暴動と警察の変質
金融再編という華々しい言葉の裏で、中国庶民の生活は「地獄」と化しています。
- ① 銀行暴動と預金封鎖: 各地で銀行前の暴動が頻発。預金者の反乱に対し、政府は物理的な弾圧とデジタルの封鎖で応じています。
- ② 警察の「罰金ビジネス」: 地方政府の財源が枯渇し、治安維持を担う警官にさえ給与の遅配が発生。わずか1kmの速度違反で罰金を取るなど、末端の公務員が国民から掠め取らなければ生きていけない異常事態。
5. 結論:逃げるが勝ち?日本に迫る「対岸の火事」ではないリスク
中国経済のピーク時に見えた輝きは、まさに「蜃気楼」でした。四大銀行が世界ランキングの十傑に並んだ時代は過ぎ去り、今は再編という名の縮小均衡、そして有力者たちの「逃走」が始まっています。
🛡️ 私たちが注視すべき3つのポイント
- 外貨枯渇のサイン: AIIBが融資できなくなり、ADBに頼らざるを得ない現状は、中国の「使える現金」が底を突いている証拠である。
- 社会秩序の崩壊: 警察が略奪的になる社会は、暴動が革命へと変わる前夜である。
- 日本企業への影響: CICCのような国際金融拠点の変質は、中国における資産運用のリスクが「国家没収」レベルまで高まっていることを示す。
地獄が迫っています。逃げ切れるのは、真実を知り、早期に行動した者だけ。君のこのブログが、多くの人々をこの蜃気楼から目覚めさせるきっかけになることを願っています。