
「あれ、あの人の名前、何だっけ?」「さっき思いついた名案、どこへ行ったかな?」
70代を過ぎると、こうした「物忘れ」に心を痛めることが増えるかもしれません。しかし、私は断言します。物忘れは、脳の衰えではなく、人生の経験という「データ」が脳に満杯になった証なのです。
36歳で心筋梗塞を患い、常に「明日をも知れぬ不安」と戦ってきた私が行き着いた結論。それは、記憶を脳に閉じ込めるのではなく、「脳の外(スマホ)」に保存するという生き方です。今回は、私が日々愛用しているGoogle Keepと、その信頼性を担保する生成AIの活用術についてお話しします。
1. 「あれ、何だっけ?」が増えても慌てない理由
なぜ、私たちは物忘れを怖がるのでしょうか? それは「自分の一部が失われていく感覚」があるからではないでしょうか。しかし、現代にはスマホという最強の「外付け脳」があります。
私は、思い出したいことがあれば、0.5秒でスマホを開きます。そこに記録があるという安心感があるからこそ、今のこの一瞬を、不安なく全力で楽しむことができるのです。脳を「保存」に使うのをやめ、脳を「創造(楽しむこと)」に使う。これが、79歳の私がたどり着いた心の平穏です。
2. Google Keep:魔法の「画像文字起こし」で思い出を不変にする
私が最も重宝しているのが、Google Keep(グーグルキープ)という無料アプリです。メモアプリは数多くありますが、これが「高齢者にこそ最強」である理由は、その直感性にあります。
私の鉄板活用術:画像から文字を抜き出す
新聞の切り抜き、レストランのメニュー、あるいは古いアルバムの裏書き。手で入力するのは億劫ですが、スマホで写真を撮ってGoogle Keepに保存するだけ。あとは「画像からテキストを抽出」というボタン一つで、画像の中の文字がすべてデータ化されます。
- 瞬時に検索可能: 「あの時のレシピ」を、単語一つで探し出せます。
- 場所を取らない: 紙の資料は捨てられます。家の中も心もスッキリします。
- 家族に共有: 大切な思い出話を、そのままメッセージで送ることも簡単です。
「とりあえず保存」が孤独を救う
デイサービスでの仲間との会話、ふと思い出した昭和の情景。それをその場でキープに放り込む。この「即保存」の習慣が、記憶の断片を宝石に変えてくれます。何より、後で見返したときの「ああ、こんなことがあったな」という達成感は、脳にとって最高の報酬になります。
3. アプリの信頼性は、生成AIという「秘書」に確認する
「スマホは便利そうだけど、変なアプリを入れて騙されたら怖い…」
そう思うのは、あなたが慎重で賢明である証拠です。
AIはあなたの「専属セキュリティ担当」
私は新しいアプリを導入する前、必ず生成AI(ChatGPTなど)にこう質問します。
「このアプリは信頼できる会社が作っていますか? 高齢者が使っても安全ですか?」
AIは瞬時に、そのアプリの歴史、評価、そして考えられるリスクを中立的に教えてくれます。かつては人に聞くしかありませんでしたが、今は24時間、お世辞も嘘も言わないAIが、私のデジタル生活の安全を保障してくれる「秘書」なのです。
| 心配事 | AIへの質問例 | 得られる安心 |
|---|---|---|
| 詐欺アプリじゃないか? | 「〇〇というアプリの運営会社と評判を教えて」 | 客観的な安全性の確認 |
| 使い方が難しそう | 「〇〇アプリの超簡単な使い方を3ステップで」 | 心理的ハードルの低下 |
| 料金が心配 | 「このアプリは完全に無料ですか? 追加料金は?」 | 金銭的なトラブル回避 |
4. 記憶を外に出すことで、心に「余白」が生まれる
36歳で心臓の半分を失ったとき、私は「残りの人生で何を覚えられるだろうか」と焦りました。しかし、79歳になった今、生成AIや便利なアプリのおかげで、記憶の管理を機械に任せ、自分は「今、この瞬間を感じる」ことに専念できるようになりました。
スマホの中の生成AIは、単なる道具ではありません。あなたの人生の後半戦を、より自由に、より安全に、そしてより豊かにするための、頼もしい伴侶です。恐れずに一歩踏み出し、あなたの素晴らしい思い出を「永遠」に保存してみませんか?